下肢静脈瘤とは

   

下肢静脈瘤とは

下肢(足)の比較的に太い静脈の弁が悪くなり、本来心臓に帰っていくはずの血液を足の静脈に溜めてしまい、静脈が水風船のように膨らんでしまう病気です。

下肢静脈瘤の原因

下肢静脈瘤になる誘引

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・足の筋力低下
・足の血管の壁面の弱体化
・逆流防止の弁の損傷や機能が低下
・血管が柔らかい
・肥満などの体重の増加
 
下肢静脈瘤になりやすい原因

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・加齢
・職業による立ち仕事が多い人
(主婦、販売員、調理師、教師、医療関係者、キャビンアテンダント、工場勤務など)
・妊娠や出産を経験した人
・男性より女性が多いです
・女性ホルモンの減少
 

本来、心臓から拍出された血液は、動脈を通り各臓器へ供給され、静脈を通り肺を通過して再び心臓から拍出されるものです。

この最後の通り道と言える静脈では、心臓からの圧力に頼ることが出来ず、自動的に心臓へ血液が帰っていくわけではありませんので、血液の逆流を防ぐためにがついております。

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下肢静脈瘤の症状

・足がつる(こむら返り)
・足がむくむ
・足が痛い、だるい、重い、疲れ易い
・足が痒い(かゆい)
・足の血管がボコボコしている
・足に瘤(こぶ)がある
・足の血管が浮き出ている
・皮ふに色素沈着(皮ふの色が変色している状態)が起こる
・皮ふから出血がある
・皮ふが硬い
・皮ふに潰瘍(やけどのような状態)ができた

 

足がつる・こむら返り

下肢静脈瘤の初期症状で、多く見られるものとしてこむら返り(足がつる)があります。典型的なのは、夜寝ている間、特に明け方に足がつって目が覚めるというものです。軽いものでは、月に1回程度、頻繁な方では毎日足がつる方もいます。足がつる際に結構な痛みを伴うことも多く、毎晩足の痛みで目が覚める症状があれば、寝不足になってしまいますし、辛いですよね。

静脈瘤によって足がつるメカニズムは正確なことはわかっていませんが、本来心臓に戻っていくべき血液が、静脈の逆流によって足に溜まった状態ですから、電解質に異常をきたして筋肉の異常収縮を起こしているではないかと言われています。

下肢静脈瘤の浮腫(むくみ)について

静脈瘤の原因は静脈の逆流です(後述)。静脈瘤は静脈の逆流によって様々な症状が出現する病気です。本来、静脈は全身に行き渡った血液を心臓に戻すための通り道ですよね。正常な静脈は一方通行になっており、逆流しないように逆流防止弁が付いているのですが、弁の機能に異常があると、重力で逆流してしまい、足の下の方に血液が溜まりやすくなります。血液が溜まると静脈圧が高くなるので、次第に静脈の壁が膨らんできてしまいます。これが静脈瘤です。

血管内の圧が高くなると血管外に水分が染み出していきます。静脈に逆流がある人は、足の下の方に血液や体液が溜まりやすくなり、足が浮腫んでしまいます。

術前

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写真の患者さんは両足とも浮腫んでいますが、特に左の浮腫が強いですね。毎日重りをつけて歩いているようなものですから、足は疲れやすくなり、夕方になるとだるくなります。

術後

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写真は両足の手術をした1ヶ月後のものです。両足の大腿部にある大伏在静脈という血管を焼いて閉塞させました。逆流が止まり、今まで下の方に溜まっていた血液が心臓にスムーズに還っていく様になったため、足の浮腫が大分良くなりましたよね。両足とも細くなり、左右差もなくなりましたね。

浮腫んでいる方は静脈瘤が目立たず、見過ごされているケースが非常に多いです。

浮腫が強い場合、静脈瘤かどうかは超音波をしてみないとわからないこともあります。

何年も内科で漢方薬などを処方されていて経過を診られていた方が、術後劇的に浮腫が引くケースが良くあります。

倦怠感(足のだるさ)

特に、立ち仕事で1日中立っている、デスクワークで一日中座っているという生活をしていると、1日中、血液が逆流して夕方には足がむくんでパンパンになってしまいます。足がむくんでいるということは、足に重りをつけているようなものなので、足がだるい、疲れやすいい、重苦しいという症状につながります。

治療をすれば、静脈の逆流がストップし、今まで足に溜まっていた血液が心臓に正常に戻るようになります。そのため、足のむくみが引いて足が軽くなり、だるさ、重苦しさなどの症状は劇的に改善します。

下肢静脈瘤の症状は「こぶ」だけではない!

単純に皮膚の色がかわってかゆみだけのこともあるのです。

下肢静脈瘤は皮膚炎と間違いやすく見た目では判断しにくいです。
皮膚科での治療ではなく、静脈の逆流を止める根本的な治療が必要なのです。

以下に、下肢静脈瘤が単なる皮膚炎と間違えられて悩まれた女性の例を漫画にしてみました。

「足の潰瘍を、皮膚科で見てもらえば治ると思った女性。その選択が後々、足へ大きな影響を与えることに...」

漫画でわかる「皮膚炎と間違われやすい下肢静脈瘤」






もし1つでも、お心当たりがある人は下肢静脈瘤の可能性があります。
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症状や進行具合には個人差がありますが、下肢静脈瘤がそのうち自然に治ることはありません。
症状は徐々に悪化していき、切開手術が必要となるケースもあります。
症状を感じたら、早期に専門クリニックで検査をしてみて治療法を医師に相談されることをお勧めします。
 

下肢静脈瘤の種類

見た目が気になる程度のごく軽症の場合から、皮膚潰瘍など合併症を引き起すような
重症の場合もあります。
ここでは、下肢静脈瘤の種類と合併症をご説明します。
◆大伏在静脈瘤

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大伏在静脈瘤は、足にある静脈の血管のうち表面に近い太い伏在静脈で、そのうち足首内側や大腿部の内側の伏在静脈の本幹およびその主要分枝に発生する瘤(こぶ)が、大伏在静脈瘤です。
 
◆小伏在静脈瘤

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小伏在静脈瘤は、大伏在静脈と血管の場所が異なり、足にある静脈の血管のうち表面に近い太い伏在静脈で、そのうち足首の後ろや膝窩部・膝の後の伏在静脈に発症するものが、小伏在静脈瘤です。
 
◆網目状静脈瘤

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皮膚のすぐ下にある細い静脈が網目状に膨らんで発症する静脈瘤です。
 
◆クモの巣状静脈瘤静脈瘤

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より細い静脈が拡張して発症し、青白い色や赤紫色に見える静脈瘤です。
クモの巣状静脈瘤静脈瘤に分類されていますが、静脈瘤のような瘤(こぶ)はありません。症状としては、軽症です。
 

本当は怖い!?エコノミークラス症候群を起こす下肢静脈瘤もある!

静脈瘤は静脈の逆流によって様々な症状が出現する病気です。実は、これは一般的な一次性静脈瘤というタイプの下肢静脈瘤のお話で、これからお話する怖い静脈瘤は二次性静脈瘤というタイプの下肢静脈瘤です。

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一次性静脈瘤は、表在静脈(正確には大腿部にある大伏在静脈や副伏在静脈、下腿背側にある小伏在静脈)の弁機能に異常があり、血液が逆流することによって起きる静脈瘤です(上図の左)。逆流している血管をレーザーや高周波で焼灼、あるいは逆流している血管を抜去(ストリッピング)すると、静脈瘤が治るだけでなく、浮腫、倦怠感、こむら返りなどの症状が消失します。

二次性静脈瘤は、深部静脈の閉塞または狭窄によって、表在静脈が側副血行路となって静脈内圧が上昇することによって起きる静脈瘤です(上図の右)。代表的な原因として、深部静脈が血栓で閉塞する深部静脈血栓症があります。

深部静脈血栓症は、血栓が肺に飛んでしまうと肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)となって致命的な転帰となることがあります。そうならないためにも、血栓を溶かしたり、血栓を出来にくくしたり、飛ばないようにする治療が必要になります。また、血栓ができやすい基礎疾患を抱えていることもあり、血栓に対する治療と並行して精密検査が必要な疾患です。

下肢静脈瘤は、命に関わることがないと医療関係者からも甘く見られがちですが、それはあくまで一次性静脈瘤の話です。下肢静脈瘤診療で最も重要なことの1つは、二次性静脈瘤を見逃さないことです。二次性静脈瘤の頻度自体は決して多くはありませんが、普通の静脈瘤だと思っていたら、深部静脈血栓症が原因だったという患者さんがいることも事実です。当院は、今年の7月に開業以来、たくさんの患者さんに来ていただいており、そのほとんどが一次性静脈瘤でした。その中に数名、深部静脈血栓症の患者さんがいて、総合病院に紹介しております。そのうち1名は、初診時の超音波検査で深部静脈の閉塞の所見があり、そのまま救急外来に紹介して肺塞栓症の診断となり、即日入院となりました。

下肢静脈瘤がある方は、一度、超音波検査を受けることをお勧めいたします。

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